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2005.02.14

劇場版『AIR』

 つー事で昨日観てきました。朝、イベント行く前に劇場寄って整理券付きチケットを買って夕方に再来場と言う面倒な事をしなけりゃならなかったのは、上映してる小屋が全国でも10に満たないと言う理由からでして。封切の土日は、どこも凄い混雑だった、とか情報あると、やっぱ万全な体制で挑まねばな。

 結果的には楽勝で、前から三列目はオレとさいどんのふたりだけと言う、のびのびした環境で堪能出来ました(笑) 他にも本作品は「出来がアレ(^_^;)」と言う前情報もび交っていた訳ですが、そのあたりは、さいどんが放った一言「ま、USAゴジラ観る感じで(笑)」に目から鱗が(笑)

 て事で、以下に感想を書くわけですが、ネタバレが嫌な人は読まないで下さい。あ、結論を先に書いておきますが、「これはこれで」てのが、上映後に二人で漏らした言葉でした(笑)

 すごーく簡単に言っちゃうと。『AIR』と言う作品を再現したかった上にこんなの作ったのであれば、明らかに失敗作。これでは、原作ゲームが好きな人は納得させにくいでしょう(^_^;) 『AIR』と言う題材を素材にして作りたいモノを作った、て事なら、これはこれで有り、と言う事になると思います。映画の完成度としても、素直に「凄いよ!」と褒める気分にはならない所が、残念な出来と言えるかな。私が原作ゲーム好き、て言う部分を差っ引いても、マイナス面が結構目に付いた。ま、作画の荒れは些細な事だけど、意味わからないパースでロリっぽい絵になられても、苦笑いしか出なかったり(^_^;)とかとか…。

■ゲームをクリアしてるなら、どう考えてもあの物語を、どう上手く凝縮したって90分で収まる筈無いじゃん、てのは最初から解っていた訳で。そうなると注目すべきは、あの物語をどう咀嚼して、どの様な形で吐き出してくるのか、と言う点だと思っていた。ネットで流れているらしい悪評も、そう言った部分を込みにしてるのかなと思い込んでいたが、そのアタリは違っていた様で。いや、期待する気持ちは分かるけどそりゃ無理だし。絶対。ついでに言うと個人的には、オミット出来る所はオミットして、ガラリと雰囲気変えてくれてもいいから、本質だけは描いてくんないかな、と、最大の期待は、そこだったのよね。残念ながら、『AIR』と言う物語の核の部分はもとより、神奈に始まり観鈴で一幕を引く、登場人物達の熱い想い、魂、そう言ったものが置き去りにされたままに完成してるな、と。その点で、まぁ、期待外れではあった訳だ。

 そういう意味で、この作品は『AIR』は『AIR』でも別物です(笑)

 あとでパンフレット読んだら、原作プレイしてんの、脚本家とかまわりのスタッフで、出崎監督は知らなかったって言うし、それならそれでプレイしてみたのか、なーんてのも無理な話で、上がってくるシナリオに質問しながら納得できる形にしていった、てな事じゃん。そりゃ、別物になるよ(笑)咀嚼どころか口にも入れられなかった、て事だし。

■これ書いてる最中に届いた、さいどんからのメール。スマン無断転載、エントリ後に許可申請する(笑)

「出崎最高! …というのはウソじゃが(^_^;) …でもまぁ、ダレずに見れたしワシ的には十分かな(^_^;) AIR編の カラス化の衝撃がなくなった分、なんか難病純愛モノみたいになって しまったが、ま、それはそれで(^_^;)」

 この「難病恋愛モノ」てのが、俺的にもピッタリくる表現ね、この映画。翼人伝説に「なんとなく」オーバーラップしてしまった男女&母の悲劇、てな。70年代のドラマになら格好の題材。そうとなると、出崎演出ってのは、かなりフィットするのですよコレが。アニメ界ではベテランだし現代でも通用する監督なのは確かだと思うけど、流れてる血潮は70年代、てのが俺的印象(^_^;) 『劇場版とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!』が過去二作品よりも、ましてやメイン上映作品だった『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(両作合わせて何文字だよ(^_^;))よりも熱い血潮が燃え上がる傑作として楽しめたのも、その70年代感覚な本筋と出崎演出との相乗効果であると信じて疑わない私なのです(^_^;)

 そう言う点では、素直に楽しめたんですよコレが(笑) 特に、往人と晴子なんて、出崎演出のおもちゃにされてるが如き(笑)黄金パターンの連続で、正直笑いが込み上げる事もしばしばあった訳だけど、このあたりの演出も、慣れ親しんだ部類のものだったし。カッと目を見開く晴子の表情なんか、嬉しくてたまらなかった。若い連中には古くさいとか映るかも知れないけど、まぁそれも否定出来ません。でもま、そのキャラクターの心理表現を最大限効果的に映像化する、と言う点では、非常に良くできた演出でもあるんですよ。問題は、古くさいとか手抜きに見えるとか(^_^;)そんなんじゃなく、鍵作品のキャラは心理表現方法自体がねじ曲がってる(笑)て事に尽きるわけで。そう言う点での食い違いを考えると、原作自体に触れずに行われた出崎演出は、馴染む訳は無いんだけど、ここまで違って見えると、もう気持ちいいかもしんない、てのが、俺的感想であるのだ(^_^;)
(出崎演出に関しては、パンフでロトさんが熱く語っていて、「うわ、こんな所でもお仕事されてるのか!」とか思ったり…と言うのはさておき、残念ながら『AIR』から出崎演出に触れた人は過去作品に触れる事はあんまし無いかもなぁ、とか思ったり。そのあたりどうなんだろう、若い人の反応を知りたい気もする)

■そんな感じで、神奈と柳也のキャラクターや関係、観鈴の積極的な性格などなど、原作から見れば違和感ある部分は、ほとんど70年代チックなアレンジに見えて、そりゃこれは別物以外の何者でも無いけど面白いもんだなと。「これはこれで」てな感想は、ま、無理に語ればそんな所なのです。アレンジしすぎだけど(笑)  パンフに載っていたシナリオ第3稿を読んだけど、原作を上手くシナリオに置き換え直してる(^_^;)出来ではあるけど、これ映像化しても、原作知らない人間にはさておき、俺的には新鮮味無いから案外つまんなかっただろうし、別なモノを観たい、ってのも本音なのです。いやー、同じもの、多少の違い程度ならばゲーム再プレイするよ(^_^;) それに、テレビの方でそれなりに忠実に作ってくれるだろうし(笑) てのは、まぁ身も蓋もない言い方ですが。

■最後に。実は演出が出崎監督と言う事よりも、劇伴が周防義和と言うところに注目していた私。アニメ作品では、個人的には『魔法少女プリティサミー』以降ご無沙汰だったんだけど、パンフ見れば近作も結構お仕事されてる様で。やっぱ、邦画のイメージが強いのかなぁオレ(^_^;)、とにかく、安心して聴ける仕事をする作曲家の一人と言う認識で、今回も密かに期待してました。サントラ買おうかな、と言うレベルに満足でした(笑) ゲームの音楽を原曲として、巧みにアレンジ。手堅い仕事してますよ。「鳥の詩」のアレンジ劇伴なんかは、ゲームでももっとヴァリエーション欲しかったしねぇ。てゆーか、ゲーム音楽そのまま&使用法もゲームと同じ感覚のテレビ版には、聴覚面で異議ありな私なので、映像作品の劇伴と言う立場をしっかりと守った形で完成されていたのは、非常に嬉しかったです。…ま、「ここでショック音楽はいるんだろうな(^_^;)」と思ったら予想通りに入ったりと、堅実すぎる所も多々あったんだけど(^_^;)

■ラストは「え?これで終わり?」感がとても強く(笑)、また個人的には音楽のメドレー形式なエンドロールって好きではないので、そのあたりの理由でも観賞後の印象がマイナスになったのは本当の所だけど。でも、もう一度観に行きたいかな、てのも正直な気持ち。色んな意味で面白かったですよ。

(2月15日加筆修正)

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» AIR劇場版と出崎監督 [徒然不定記]
 四式楽屋裏さんの劇場版『AIR』で、 残念ながら『AIR』から出崎演出に触れ... [続きを読む]

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